飲食業界では、日々多くの店舗がSNSを活用した集客に取り組んでいます。しかし、熱心に投稿を続けているにもかかわらず、思うような成果が出ない…そんな悩みを抱えている経営者の方は少なくありません。
実は、SNS運用には多くの飲食店が気づかないうちに陥っている「罠」があります。今回は、私がこれまで見てきた多くの事例から、SNS運用で失敗しがちな3つの罠と、その解決策についてお伝えします。
罠①:「投稿数」だけにこだわりすぎる
多くの飲食店では「毎日投稿しなければ」という思い込みから、内容よりも投稿頻度を優先してしまいがちです。ある居酒屋では、毎日同じような料理写真を投稿し続けましたが、フォロワー数はほとんど増えず、実際の来店にも結びついていませんでした。
解決策:「質」と「ストーリー性」を重視する
質の高い投稿のポイント
単に料理写真を投稿するのではなく、その料理にまつわるストーリーを添えましょう。例えば、「今日入荷した○○産の鮮魚を使った特別メニュー」「シェフが3日かけて仕込んだこだわりのソース」など、お客様の興味を引く情報を盛り込むことでエンゲージメント(いいね・コメント・シェア)が大幅に向上します。
あるイタリアンレストランでは、投稿頻度を週3回に減らす代わりに、食材の産地や調理過程を詳しく紹介する投稿に切り替えたところ、投稿あたりの反応が4倍に増え、実際の予約増加にもつながりました。
罠②:「自分目線」の投稿ばかりしている
多くの飲食店が陥るもう一つの罠は、店舗や経営者の視点だけで投稿を作ってしまうことです。「今日のおすすめメニュー」「新しく始めたランチコース」など、店側の伝えたい情報ばかりを発信していませんか?
あるカフェでは毎日のメニュー情報を淡々と投稿していましたが、フォロワーの反応は鈍く、実際の集客にはつながっていませんでした。
解決策:「お客様目線」で価値を提供する
SNSでは、フォロワーに対して何らかの「価値」を提供することが重要です。例えば:
- 自宅でできる簡単なプロの技(家庭でできるドレッシングのレシピなど)
- 食材の選び方や保存方法のアドバイス
- 季節の食材についての豆知識
- お客様が投稿した写真のリポスト(許可を得た上で)
成功事例
あるラーメン店では、家庭でできる「簡単チャーシューの作り方」を動画で公開したところ、通常の投稿の10倍以上の反応があり、「プロのレシピを教えてくれる親切なお店」というイメージ形成につながりました。その結果、新規顧客の来店が30%増加したそうです。
罠③:「反応」を分析していない
多くの飲食店では、SNSに投稿はしているものの、どの投稿がどれくらい反応を得ているかを分析せず、ただ漠然と続けているケースが見られます。あるスイーツショップでは、毎日異なる商品を投稿していましたが、特定の商品(季節限定のパフェ)の投稿だけが突出して反応がよいことに気づいていませんでした。
解決策:データを分析し、PDCAを回す
最低でも月に1回は、どの投稿が最も反応が良かったかを分析しましょう。多くのSNSプラットフォームには無料の分析ツールが用意されています。
分析のポイント
– 最も「いいね」が多かった投稿
– 最もシェアされた投稿
– コメントが多かった投稿
– 実際の来店につながった投稿(「この投稿を見て来ました」という声)
あるバル店では、投稿分析を始めたところ、料理の写真よりも、スタッフの笑顔や調理風景の方が反応が良いことがわかりました。そこで投稿内容を「人」に焦点を当てたものに変更したところ、フォロワー数が3ヶ月で2倍になり、「あのスタッフに会いに来ました」というお客様も増えたそうです。
成功するSNS運用の秘訣
これら3つの罠を避けるための秘訣をまとめると:
- 「毎日投稿」よりも「質の高い投稿」を心がける
- お客様に価値のある情報を提供する
- データを分析し、効果的な投稿を増やしていく
特に重要なのは、SNSを「告知の場」ではなく「お客様との関係構築の場」と捉えることです。コメントには必ず返信し、お客様の投稿をリポストするなど、双方向のコミュニケーションを大切にしましょう。
飲食店のSNS運用は、単なる宣伝ツールではなく、お店の個性や魅力を伝え、ファンを作るための重要な手段です。今回ご紹介した罠に注意しながら、戦略的なSNS運用を行うことで、効果的な集客と売上アップにつなげていきましょう。
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